月別アーカイブ: 2014年3月

献上ガニ

「冬の味覚の王者『越前がに』は、福井県が誇る特産品であり、全国唯一の皇室献上ガニでもあります。」
私は県の特産品などを皇室に献上する、そういった行為そのものを知るものではありませんでした。私たちが、盆・正月に、お世話になった方、上司や実家へお中元・お歳暮を持っていくような、そんな次元の低い行為とは断然違います。越前がにには皇室へ献上できるほどの品格があります。
歴史をひも解けば、日本におけるカニ漁は1500年代、安土桃山時代に始まったといわれています。三国港で水揚げされた『越前がに』は、地元三国町の4軒の魚問屋から、毎年1件が担当しています。献上日(11020日)に水揚げされたものの中から極上品を選び、天皇・皇后両陛下をはじめとする7つの宮家に献上されます。

安土桃山時代から食べられていたであろうズワイガニ。しかも福井(越前)では他地域に送ったり、特産品として紹介するなど、その美味しさは広く知れ渡っていきました。そして明治421909)年、越前のカニを皇室に献上することで、名実共に全国ブランドとなったのです。献上がにの記載は、明治431910)年元旦、地元新聞にあります。当時の福井県知事が、四ケ浦村(現、越前町四ケ浦)で獲れたカニを東宮御所に献上したと書かれてあり、献上は今日まで続いています。現在は三国港で水揚げされた『越前がに』が毎年、皇室に届けられています。

福井県の人にとっては、この越前ガニ、特産品でもあるが故に宝物のような存在であろうと思われる。たかがカニとはいうものの、皇室に献上されるほどの越前ガニである。見た目も味も間違いはない。今まで、私の中でカニに対する認識はどんな種類であろうが、全部一まとめにして「カニ」だった。ここで一つ知識を得た。カニといえば、越前ガニのズワイガニ以外にない。美味しい「越前ガニ」にこれからも出会っていくよ。

今回は献上される越前ガニにこだわってみました。越前ガニは高価なカニです。

みんな揃ってカニ!

単身赴任が明けて主人が福井に帰ってきました。
京都の大学に行っているお兄ちゃんも、それに合わせて帰省してきてくれた。
うれしいなぁ、久々に家族かが揃ったのだから、と言うとみんな声をそろえてあとを続ける。――カニ食べに行こう!
そういうわけで、今日の晩ご飯は、こういう時にはいつも行くあの店で、越前ガニと牛しゃぶとマグロのコース。
って、なぜカニを食べに行くのに牛しゃぶやマグロがついてくるのかはよく判らないけれど、そこはそれ、わたしのうれしさの現れととってもらいましょう。さいわい、わたしは――というか家族みんなそうなのですが、食べものの好き嫌いは全くない。カニに添えて出てくるのが肉でも魚でも野菜でも、大歓迎です。要するに、郷土の誇り越前ガニを、ほかのいろんな魅力的な食材で盛り立てよう、とそういうことなのですよ!
お店について、どんなメニューなのかわくわくしながら待ってると、軽いお通しのあとに運ばれて来たのがカニマヨサラダで、ここからもうカニの世界が始まっているわけです、と思ったら、ついで出てきたマグロの刺身とお寿司の盛り合わせが、主役はカニだけじゃないのよ、と主張しているみたいにおいしかった。
それから、お待ちかねの茹で越前ガニと、国産牛しゃぶのコンビ。
主人とお兄ちゃんの、顔じゅうほくほくさせながら鍋の湯気の中で肉やカニの身を頬張る姿は”男の子”の子どもっぽさをあますところなく体現していて笑ってしまいました。
とりわけ主人の、越前ガニへのなつかしがりようったらなかった。その横で私がしじゅうニコニコしっぱなしなのも、娘には妙にくすぐったいような光景に映っていたことでしょう。
メニューはそれからカニと長芋のチリマヨソースとか若鶏とチーズの黒胡椒焼きとかいった何やらフクザツな世界に突入していき、やがて、〆のセットにはうどんとご飯のどっちがいいかの家族会議が始まりもちろん満場一致でカニ牛雑炊。そんな名前の料理があるかどうかはわからないのだけど(笑い)…。
京都に下宿しているお兄ちゃんは、幻のカニと呼ばれる間人ガニを一度だけ食べる機会に恵まれたらしい。ゼミの教授が学生たちにごちそうしてくれたのだそうです。お兄ちゃんの話から、なんだか楽しそうな雰囲気だけは伝わってきた。あたしも早く大学行ってみたいな、と娘が楽しそうに話していて。
「で、どうだった? うちらの越前ガニと較べて」「いい勝負かな。向こうも負けちゃいない。つーかまあ、同じズワイガニには違いないわけだからな。けどあれだな、やっぱこっちで食うカニのほうが、なんつーか落ち着くかな」……どうやら、味の問題ではないみたい。
こうして、ひとしきり久しぶりのカニを楽しんだあと、デザートのゆずアイスの冷たさに口をすぼめながら、あと何回みんなでここへご飯食べに来られるんだろうとふと思った。いやいやもう少ししたら孫と一緒かな。あ~楽しみ!

そろそろ…

三月も半ば、春が近づいてまいりました。越前ガニのシーズンももうじき終わりですね。11月6日から始まって3月20日頃まででしょうか。冬の到来とともにカニの解禁が始まり、大量のカニ達が各家庭、店頭に並びました。寒い冬に暖かいカニ鍋を食べて、一年の終わりを語る。12月の年の暮れを迎え、年を越す。いい一年だったかなぁ?一人寂しく酒屋のカウンターでお酒を飲んでいる自分がいたような気がします。寒い心に暖かいカニ鍋がスーッとのどからおなかの方へと浸みていく。何とも寂しい一年だったよ。しかし、カニ鍋があったから、私は寂しい冬を越すことができたのかもしれません。カニ鍋が私を癒し、元気をキープさせてくれたような気がします。年を越し、一月、二月と寒さをこらえながら何回カニ鍋を食べただろうか。今年こそは幸せいっぱいのカニ鍋を食べたい。
そんな寂しい冬も終わり、今や早三月半ば、さすがに春の兆しを感じてきています。昼間の空気にも温かさを感じます。春が近づいてきていますね。しみじみとカニ鍋を食した夜も終わりました。春にカニ鍋は似合いません。これからの季節、カニの登場するシーンはあるのでしょうか。
春が来て、これから一年が始まる。どんな一年になるか。今年の暮れには一人寂しくカニ鍋を食べるのではなく、せめて二人で語り合いながら、温まりたいなと思います。カニ様!また、冬にお目にかかりましょう。春から夏、秋にかけてカニさんたちはどう過ごすのでしょうか。春にもカニさん探しをしてみます。

越前の打刃物

近年、世界では日本食ブームが起きています。それとともに日本独自の調理法や調理器具なども注目を集めています。もちろん日本の包丁も注目が集まっているもののひとつです。日本料理の魅力のひとつは美しい盛り付けにあります。お造りを花のように盛る。透けるように薄くかつら剥きされた大根を使ったツマを添える。これらを美しく仕上げるには切れ味のよい包丁が欠かせません。日本では包丁は料理人の命とも言われるほどです。そして料理人の多くが職人の手によって作られる打ち刃物を使っています。打ち刃物といえば福井の越前打ち刃物も有名です。越前の打ち刃物会社も頑張って世界に向けたセールスを展開しており、その努力の結果、フランスのミシュランを獲得している有名フランス料理店でもカトラリーに採用されています。世界でも越前打ち刃物も素晴らしいとの高評価を受け始めているのです。越前打ち刃物は約7000年前から受け継がれています。その抜群の切れ味の秘密は伝統の鍛造技術にあります。特徴としては鋼を熱して叩き伸ばす「火づくり鍛造」です。これは叩くことで金属の強度が増すのです。
越前には熟練の職人さんにそのコツを学んで、オリジナル作品を自分で作ることができるところがあります。そこで作れるもののひとつがペーパーナイフです。ペーパーナイフの製造工程はデザイン・鍛造・切断・刃付け・着色で所要時間90分ほどです。まずは銅をハンマーで叩きます。叩けば叩くほど銅版は丈夫になっていきます。これは表面を均一に叩くと仕上がりがきれいになります。集中して叩くのは日ごろのストレス解消になるかもしれません。次はナイフの型を取ります。銅版にマジックで好きなデザインを描きます。ここではあまり凝ったデザインにしないほうが成功率は高くなるようです。それをハサミで職人さんがデザインに沿って切断してくれます。切り口がギザギザでも次の工程で磨くので大丈夫です。ここで磨きの工程です。ペーパーナイフとなる銅版を専属の機具にはさみ、体重を掛けてやすりをスライドさせます。細かい部分はサンドペーパーで整えます。ここでイニシャルを入れたければアルファベットを刻印できます。
いよいよ最後の工程の着色です。黒っぽい色にしたければ専用の着色液に浸します。もしそのままの銅色を生かしたい部分には液を付けないようにして注意しなければなりません。これでとうとう完成です。頑張って作った分、喜びもひとしおです。お土産にするのも良いですね。あなたも越前海岸に行って世界にたった一つのお手製の越前打ち刃物を作ってみませんか?