究極のカニカマ
カニかまぼこというと、手で簡単に割けるようになっている表面が赤色で中が白いかまぼこだ。割ける感覚と色でカニっぽくしてあるが、あくまでカニっぽいだけのもの。一目で「カニカマだ」と誰もが見分けることができる。しかし、最近は一目でそれがカニカマだとは見抜けないほどかにそっくりに作られたカニカマがあるという。テレビ番組で紹介されてから有名になったこのカニカマ。番組内では本物のカニと並べて目利きのプロに見分けさせていたのだが、確かに素人が本物のカニと見分けることは難しいと思えるほど精巧に作られていた。テレビで観て以降「どれほどそっくりなのか一度食べてみたい」と思いつつも、地元のスーパーでは見かけたことがないためこれまで対面できずにいたのだが、先日、思いがけず出会うことができた。
ある日母が昼食にとスーパーで買ってきてくれた8貫ほどの握り寿司のセットの中に、かにの握り寿司が1貫だけあった。「かにが入っているなんてスーパーの寿司のわりに豪華だね」などと話しつつ食べた後、何気なくラベルを見ると、「かに」の文字が無い。いや、正確に言うと「かに」の文字はあったのだが、「かに風味かまぼこ」として表示されてあったのだ。驚いてその場にいた母や夫に伝えると、「え!?あれカニカマだったの!?」とその場は騒然としてしまった。誰もが「これは本物のかにだ」と疑わなかったほど、そのカニカマは本物そっくりだったのだ。その寿司は1セットしかなかったため、食べた夫に味はどうだったのか聞いてみると、「かにと思い込んで食べていたからなぁ…。何かいつものかにの味と違った気もするけど」とのこと。どうやら味も本物に近くなるよう作られているようだ。
「テレビでは観たけれど、ここまでそっくりとは…」と、生産者のこだわりに脱帽し、皆で「すごいすごい」と大興奮してしまった。ただ、実際に見ることができたものの私は食べることができなかったのが残念で、再会を求めて以前よりも更にスーパーのかまぼこ売り場を覗く頻度が上がってしまったのだった。