越前の打刃物

近年、世界では日本食ブームが起きています。それとともに日本独自の調理法や調理器具なども注目を集めています。もちろん日本の包丁も注目が集まっているもののひとつです。日本料理の魅力のひとつは美しい盛り付けにあります。お造りを花のように盛る。透けるように薄くかつら剥きされた大根を使ったツマを添える。これらを美しく仕上げるには切れ味のよい包丁が欠かせません。日本では包丁は料理人の命とも言われるほどです。そして料理人の多くが職人の手によって作られる打ち刃物を使っています。打ち刃物といえば福井の越前打ち刃物も有名です。越前の打ち刃物会社も頑張って世界に向けたセールスを展開しており、その努力の結果、フランスのミシュランを獲得している有名フランス料理店でもカトラリーに採用されています。世界でも越前打ち刃物も素晴らしいとの高評価を受け始めているのです。越前打ち刃物は約7000年前から受け継がれています。その抜群の切れ味の秘密は伝統の鍛造技術にあります。特徴としては鋼を熱して叩き伸ばす「火づくり鍛造」です。これは叩くことで金属の強度が増すのです。
越前には熟練の職人さんにそのコツを学んで、オリジナル作品を自分で作ることができるところがあります。そこで作れるもののひとつがペーパーナイフです。ペーパーナイフの製造工程はデザイン・鍛造・切断・刃付け・着色で所要時間90分ほどです。まずは銅をハンマーで叩きます。叩けば叩くほど銅版は丈夫になっていきます。これは表面を均一に叩くと仕上がりがきれいになります。集中して叩くのは日ごろのストレス解消になるかもしれません。次はナイフの型を取ります。銅版にマジックで好きなデザインを描きます。ここではあまり凝ったデザインにしないほうが成功率は高くなるようです。それをハサミで職人さんがデザインに沿って切断してくれます。切り口がギザギザでも次の工程で磨くので大丈夫です。ここで磨きの工程です。ペーパーナイフとなる銅版を専属の機具にはさみ、体重を掛けてやすりをスライドさせます。細かい部分はサンドペーパーで整えます。ここでイニシャルを入れたければアルファベットを刻印できます。
いよいよ最後の工程の着色です。黒っぽい色にしたければ専用の着色液に浸します。もしそのままの銅色を生かしたい部分には液を付けないようにして注意しなければなりません。これでとうとう完成です。頑張って作った分、喜びもひとしおです。お土産にするのも良いですね。あなたも越前海岸に行って世界にたった一つのお手製の越前打ち刃物を作ってみませんか?